今回は、以前に受けた相談事例を紹介します。
前提条件
夫・・・・バツイチ(前妻との間に子1人) 後妻・・・・初婚 後妻との子・・・・1人
財産内容
自宅(土地建物)およそ2,000万円(すべて夫名義)
預貯金・・・夫名義2,000万円 妻名義500万円
車・・・・・7年前に300万円で購入(夫名義)現在の価値は殆どゼロ
相談の趣旨は、前妻の子供に対しては過去に総額600万円の現金を贈与(生計の資本としての贈与)しており相続発生時には前妻との子には、夫の財産は渡したくないとの事。
この場合、前妻の子の法定相続分は1/4になり、遺言書にて財産をすべて後妻と後妻との子に相続させるとあっても、遺留分(最低限相続する権利)として、法定相続分の半分である1/8を前妻の子は有しております。
今回のケースでは、前妻の子に対する過去の贈与分(特別受益)も含めて遺産総額を計算することになり、土地建物2,000万円+預貯金2,000万円+特別受益600万円=4,600万円(車は財産価値をゼロとして計算)が遺産総額となります。実際にはこの遺産総額に1/8を乗じてそこから既に贈与を受けた金額である600万円を控除した金額が減殺請求をすることができる金額になります。今回のケースに当てはめると4,600万円×1/8-600万円=-25万円となり、請求することは出来ません。但し、これはあくまで遺言書にて前妻の子の相続分がない場合であり、遺言書がない場合は法定相続分の1/4が主張できますので注意が必要です。又、過去に夫から後妻や後妻との子に生計の資本としての贈与があった場合にはこれらの財産も遺産総額に含まれます。