前回に引続き遺言書の効果について紹介します。
①「子供がいない夫婦の方」
配偶者へ全ての財産を相続させることが遺言書で可能になります。又、慈善団体へ寄付することも可能です。
②「主な財産が居住している土地家屋だけの方」
主な財産が居住している土地家屋だけの場合、通常その土地家屋を相続した法定相続人は継続的に居住することを望まれます。しかし、法定相続人が複数(兄弟姉妹)いるときは相続人間の公平性を保つためその土地家屋を共有名義にしたり、場合によっては売却してその資金を公平に分けるケースもあります。あくまで民法では兄弟姉妹の相続分は平等になっていますが、実際には地域や家業・両親の世話の事などを考慮して分割されることが多いので、これらのことを考慮した遺言書があれば、相続人間での揉め事の回避につながります。但し以前に紹介しました遺留分について配慮する必要は残りますが、上記のようなケースでは、「家を継いでいる長男に全ての財産を相続させる」とした遺言書でもその通りの分割をされることは多いようです。
①「相続権がない人にも財産を残したい方」
生前に営んでいた事業で大変世話になった方や、いわゆる内縁関係にある方、介護を受け世話を受けた方など法定相続人以外の方に自分の財産を分けたい場合には遺言書で受取人と分けたい財産を指定することが出来ます。
②「家業の後継者を指定したい方」
家業の後継者について、よく株式を兄弟姉妹に分割したり、事業に必要な財産を相続人で分割されることがよくあります。しかし、事業の運営上あまり好ましいとは言いがたいです。事業運営上必要な財産は後継者1人にまとめ、他の相続人は事業に関しない財産を相続するように遺言書で指定することが出来ますので、このような場合においても金額だけでなく誰にどの財産を相続させるのか指定することが出来ます。