今回は実際にあった一般的な事例を紹介します。
前提条件
①相続人は、配偶者と長男、長女、次女の合計4人
②相続財産は自宅の土地(約2,000円相当)と家屋(約500万円相当)及び自宅近隣の雑種地(約1,000万円相当)並びに現金預金約2,000万円
③法定相続分は、配偶者が1/2 で長男、長女、次女がそれぞれ1/6となります。
④長男は被相続人及びその配偶者と同居し家を継ぎ、長女と次女は嫁いでいます。
地域柄長男が家を継ぐのが当然とされ、又、財産もその長男が相続するのが一般的な地域となります。相続財産の総額が基礎控除以下のため相続税の課税はありません。
分割内容
長男はすべての財産を相続することについて長女及び次女に遠慮し、次のように財産の分割を考えました。(法定相続分では兄弟姉妹の相続分は平等であることを考慮されています。)
・長男の相続分・・・・・・・・・・自宅の土地と家屋及び雑種地(総額3,500万円相当)
・長女・次女の相続分・・・・・・・現金預金を1,000万円ずつ
・配偶者の相続分・・・・・・・・・なし
この財産の分割について分割時には問題もなく協議は調ったのですが、数年後に下記の問題が、
長男は財産の分割で現金預金はすべて配偶者(母)が相続し、配偶者(母)の相続が発生した時に残りの現金預金を長女と次女に相続すべきであったと後悔されていました。
相続財産は両親の世話をする代償とする考えは悲しいことですが、現実にはそのような行動をとられる方も少なくありません。遺言書の作成を考えるときにはこのようなことについても留意した方が良いのかもしれません。