今回は、遺言書はあったけれど相続人同士で揉めてしまったケースを紹介します。
一般的に、遺産分割での揉め事を回避するために有効な手段として「遺言者」がよく紹介されていますが、この遺言者が逆効果となってしまった実例を紹介します。
前提条件
相続人としては配偶者(女性)と長女・長男・次男の子供3人の合計4人、子供の3人はいずれも被相続人名義の土地の上にそれぞれ子供夫妻名義の家屋を所有しています。
遺言書の内容
次男には次男名義の家屋の下にある土地を相続させ、その他一切の財産を長男に相続させるとありました。
では、いったい何が原因で揉めることになってしまったのでしょうか?
これらの要素が重なり、長女は遺言書を認めないと主張されるようになり、その態度に次男が激怒し長女と次男が激しく言い争うこととなってしまったのです。
①は感情の問題で相続人の立場としては、遺産の分割内容よりも父が遺言書に自分のことが何も記載されていないことを悲しく感じてしまいます。②は民法で定められており法定相続人が主張できる最低限の相続分です。③は家屋を建築したときに相続できるものと期待させていました。
遺言書を書くときの注意点としては、できれば各相続人に遺留分の遺産を相続させること、又、過度な期待をさせないこと、それから遺言書には相続人全員を登場させ、各人に対する思い出や期待等を記載すれば相続人が受け入れやすくなります。人は感情で動きます。感情とお金の損得が混じると揉め事になってしまいますので注意しましょう。(次回は遺留分について詳しく解説します。)