相続手続き事例集

【事例18】「遺言」はつくれなかったけれど

Aさんはガンに侵され、自分の死期を考えて遺言書を作りたいと相談に来られました。

 

大まかにどのように財産を妻や子供たちに分けたいかということは、以前にエンディングノートの中に書いておられましたので、その内容に沿って、Aさんの体調が良い時に少しずつ遺言書をつくるお手伝いをさせていただいておりましたが、そんななかでAさんの病状が急変し、遺言書を完成させることができぬまま、お亡くなりになられ大変残念に思っていました。

 

その後Aさんの奥様から、Aさんの相続に関する手続の依頼を受けさせて頂き、Aさんの奥様とAさんの子供たちで遺産相続による手続を行うことになりました。しかし、先に完成させる予定であった遺言書は完成しておりません。そのため、Aさんの奥様とお子様はどの様にすべきか悩んでおられましたが、Aさんの奥様は手元にある、Aさんが書かれた「エンディングノート」をみて、そこに遺産分割の基本的な考えが記載されていたために、そのエンディングノートの内容に沿って、ご家族は迷うことなくスムーズに手続を終了させることが出来ました。。

 

手続など色々な面で法的効力がある「遺言書」(特に公正証書遺言)とは違って「エンディングノート」には、法的効力はありません。

 

しかし、今回のように突然に亡くなられた場合、「エンディングノート」の中には、「書かれた人の気持ちがあらわれている」唯一のものなので、残されたご家族にとって、「故人の意思を尊重する」ものになるのでしょう。

 

遺言書を書かれる前に、まず自分の身辺を整理するノートとして、「エンディングノート」を書かれる方が増えております。遺言書を書く前にまずは「エンディングノート」を書くことから始めてみるのもよいかもしれません。

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