Aさんの父親は5年前に亡くなり、相続人である長男Aさん、長女Bさんで遺産を分割し相続手続を済ませていました。平穏に暮らしていたある日、Aさんたちが住む街から遠く離れた地方銀行から一通の手紙が届きました。
手紙の内容により、Aさんの父親の弟(Aさんの叔父)が多額の借金を残して亡くなったこと、AさんBさんが相続人になっていることがわかりました。
父親は長男でしたが、実家を出て遠く離れて暮らしており、家業は父親の代わりに叔父が継いでいました。
自分が家業を継がなかった負い目もあってか、父親は実家とすっかり疎遠になっていました。
父親の実家の商売のことなど知る由もなかったAさんは、銀行からの通知にたいそう驚きました。
実家の連絡先もわからず、状況が把握できないまま2週間が立ちました。
Aさんは相続放棄を考えていましたが、万一、父親が叔父の連帯保証人になっていたら・・・と思うと夜も眠れません。
保証人の地位は相続で引き継ぐことになるからです。
ようやく叔父の家族と連絡が取れて、詳しい話を聞いてみると、父親は連帯保証人にはなっていないことが確認できました。
叔父の家族は既に相続放棄の手続きを済ませていましたが、Aさんたちの連絡先がわからず、また相続人の地位がAさんとBさんに移ることも知らなかった様でした。
Aさんは早速相続放棄の手続きを始めました。
相続放棄は、「相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内」であれば可能です。
今回のケースでは先順位者である叔父の家族が相続放棄をしたことを知った日から3ヶ月以内であれば相続放棄が認められるということです。
相続放棄の申述は、亡くなった叔父の最後の住所地の家庭裁判所に対して行うこととなっているため、郵送で手続を進め、先日無事に受理されました。