後妻であるBさんが、ご主人Aさんが亡くなられたということで、相談に来られました。相続人はBさんと、前妻との間の長男Cさんと長女Dさんの3人ですが、現在、妻Bさんと長女Dさんが同居、長男Cさんとは20数年音信不通の状態が続いております。
そういった心配もあったのでしょう、被相続人Aさんは、自筆証書遺言を残しておりました。
検認手続も行い、いざその遺言を見せていただくと、「土地・建物は妻Bと長女Dに2分の1ずつ譲渡する。」と書いてありました・・・
結局、司法書士を遺言執行者として家庭裁判所に選任してもらい、司法書士の連絡により、長男Cに署名・押印をしていただきました。
自筆証書遺言の場合、分割の主旨が尊重されたとしても、手続き上は他の相続人の署名押印が必要となることがあり、よくある「もめる相続」の典型的なパターンです。
今回の場合も、自分で書いた遺言書に、執行者を決めていなかったことと、相続させるという文言ではなく、「譲渡する」と、書かれていたことが、問題でした。
その点公正証書遺言では、遺言の記載のない相続人から署名押印をもらう必要もなく、法律的にもきちんとした体裁が整っており、手続を簡素化することができます。
本人確認など、金融機関等の手続きが厳しくなってきている昨今では、公正証書遺言に有権執行者を指定しておく方法が最も確実な遺産相続の方法となり、おすすめの方法となります。