相続手続き事例集

【事例20】相続権がなかった「長男」

お父さんがお亡くなりになったAさんが相談に来られました。相続財産としては、農協にある預金と保険が少しと不動産のみです。

 

ただ、亡くなられたお父さんには前妻があり、子供もいたようで「相続はどうなるんだろう?」と不安気な様子でした。早速、相続人が何人いらっしゃるのかを調べていくと、とても意外な事実が判明することになったのです。

それは、相談者のAさんは、実はお母さんの連れ子で、亡くなったお父さんとは直接の血のつながりがなく、相続権を持たない子供だったということです。小さい頃にお母さんが再婚して、一緒に暮らすようになり、その家の長男として育てられたAさん。

 

Aさん自身も、その事実は知っていたそうですが、当然養子縁組もしてあると思っていたようで、他の兄弟たちも長男として相続を取り仕切ってくれているという認識でいたようです。

相続権がAさんにはない旨の説明をさせていただいたとき、さすがにAさんは「お父さんは養子縁組をしてくれていなかったのか」と落胆気味でした。もちろん家族もびっくりされていました。

 

すると、他の兄弟が「それでもお兄ちゃんであることに変わりはない。なんとかお兄ちゃんに、この家を相続してもらう方法はないか?」という話になったのです。

結局「遺産分割協議で、お母さまが全てを相続し、お母さまの相続に関する相続権はAさんにもあるので、お母さまが仮にお亡くなりになった場合には、Aさんも相続する」ということになりました。

 

最終的に、お父さんの前妻のお子様も「父とはもう数十年顔を見ていないし、そちらの財産を受け取る気持ちもないので、そちらの相続は放棄します」とお話があり、家族全員の同意のもと、お母さまが全てを相続することで手続を行いました。

「自分には相続権がある」と思っていても、戸籍などできちんと調べてみないと確定できないということ、そして、連れ子だという認識があるなら、養子縁組がなされているかどうか、ご両親がご健在のうちに確認しておくことはとても大事なことです。

 

通常ならば、このような問題が起きれば、これまでの家族関係が崩れ、もめてしまうのも仕方がないところですが、より一層家族の絆が深まったように感じられたご家族でした。それは、長男さんとご家族とが深い信頼関係を気づかれてきたその賜物であると思います。

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