相続手続き事例集

【事例8】遺言執行者の有効性

子供のいない夫婦の夫が亡くなりました。夫には兄弟がたくさんおり、相続人は妻と夫の兄弟、甥姪計8人になりました。

夫は病気で亡くなる3日前に「全財産を妻に相続させる」という自筆遺言書を書いており、それに基づいて相続のお手伝いをしてほしいというご依頼でした。

 

自筆遺言書は家庭裁判所で検認という手続が必要です。検認が終了したのち、銀行の解約手続や不動産の登記の申請をすることができます。

この被相続人の相続財産は主に銀行預金と自宅不動産でありました。

預けてある銀行も都市銀行から地方銀行まで6行あり、解約書類もまちまちでした。

 

たとえ、遺言書があっても、(このケースでは兄弟甥姪の遺留分もないにもかかわらず)、相続人すべての署名と印がないと、手続ができないというのが、銀行のスタンスです。ところが、ここで、魔法のように手続が簡単になる方法があるのです。

それは、遺言書検認後に、遺言執行者選任を家庭裁判所に申し立てする方法です。

 

このケースでは基の遺言書には、遺言執行者の指定がなかったので、検認後に受遺者である妻が遺言執行者になる旨申し立て、審判を受けました。

この審判書を手にしてからは、銀行の手続は妻ひとりの署名、印で完了し、夫の兄弟に手伝いを頼むことなく、簡単に解約ができました。

この相続のお手伝いをしたことによって、遺言執行者の有効性を再認識した次第です。

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